昨夜、愛犬マツが亡くなりました。17歳3ヶ月でした。私ともう一人の僧侶で読経しながら静かに見送りました。死にゆくマツの体にとりすがって名前を呼びたかったですが、私はその時、旅立つマツを呼び戻してはいけないような気持ちになりました。私をはじめ、たくさんの人に喜びや幸せを与えてくれたマツは犬として立派に生き切ったからです。役目を終えて旅立つ者を呼び戻すのは失礼だと思ったのです。呼び戻したいと思うのはマツを失う寂しさから来る私のわがままです。もし可能なら、マツが生前に行った善行の功徳によって来世は人間に生まれ変わり、仏縁を得て、私と一緒に仏道修行をしてほしいと思っています。
マツに限らず、ペットたちは全身全霊で私たちを愛してくれます。これほど率直で純粋な愛は他に見当たりません。私たち人間にもこのような愛があれば、苦しみから解放されるのではないでしょうか。先代住職の無学老師は私たち修行僧に「この子たちから学びなさい」とよくおっしゃっていました。私も歳を重ねるにつれて、愛の塊のようなペットたちから教えてもらうことが多くなりました。私の考えの及ばない数々の因縁によって畜生界に生まれたマツですが、生前に為した善行の広大さは、人間界に生まれた私の善行をはるかに超えています。愛の力は人間と動物の種を超えて広大無辺なのですね。マツが息を引き取った後、私はマツを抱きながら「たくさんの幸せをありがとう」とだけ伝えました。
住職代理 無聖