『修証義:しゅしょうぎ』は道元禅師(1200-1253)のお言葉を集めて作られた曹洞宗の基本聖典です。仏教の要点を全31節にまとめ、仏さまの教えを易しく解説しています。皆さまに仏教とのご縁を深めていただきたいと願い、古文の『修証義』を現代語に翻訳しました。卒業論文で初めて試みて以来、この作業は私のライフワークになりつあります。私のその時々の等身大の『修証義』としてご覧いただければ幸いです。
【現代語訳】
仏祖の恩に報いるには、日々の修行をおいて他に正しい道ありません。つまりそれは、毎日をいいかげんな気持ちで過ごさず、私利私欲に走らず、途中で修行を投げ出さないということです。
【法話】
【仏祖(ぶっそ)】の恩に報いるというと、お供え物をしたり冥福を祈ったりすることだと思うかもしれませんがそうではありません。道元禅師は私たちが仏祖と同じように仏の教えを実践することだとおっしゃっているのです。「自慢話や人の悪口を言ってはならない」という教えがあるのですから、それを毎日実践することです。また「怒ってはならない」という教えもあるのですから決して怒らないことです。見返りを求めずに他人に奉仕したり、優しい言葉で他人を喜ばせることも教えの実践です。修行は苦しいかもしれません。怒りたい人にとっては怒れないのが苦しいでしょうし、損得で考える人にとっては無償の奉仕が苦しいでしょう。いずれも忍耐が必要だからです。その苦しみをあえて受け入れて途中で投げ出さないで続けるのです。私たち【修行者(しゅぎょうしゃ)】が目指しているのは【涅槃(ねはん)】の境地です。やすやすと手に入るものではありません。
住職代理 無聖(むしょう)
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【仏祖】
仏教の開祖であるお釈迦さまとその教えを2500年間忠実に継承してきた高徳の僧侶たち。
【修行者】
ここでいう修行者とは在家者と出家者の区別なく、仏の教えを生活の指針にしているすべての人をいいます。
【涅槃】
迷いや悩みを離れた安らぎの境地。心がどのようなことにも揺るがず常に静けさを保っている状態。