私が苛立つのは、必要な場面で適切な言葉が出て来ないことです。それどころか、的外れな言葉を言ってしまい、後で必ず後悔します。真面目に学んでいるつもりでも、所詮は頭の中の倉庫に「知識」という名の荷物を積み上げているに過ぎません。必要な時に取り出そうと思っても探し出すのに時間がかかり肝心な時に役に立ちません。せっかく蓄えた知識も宝の持ち腐れです。
無学老師は「蓄えた知識で実践してもほとんどは失敗するだろう。大切なのは、失敗した時に経験する辱めや挫折だ。これらを乗り越えた時に初めて知恵が身に付き、そしてその時初めて知識が活かされるんだよ」と言いました。知恵とは、知識という膨大なデータを瞬時に抽出する検索エンジンなのかもしれませんね。
知識は本を読めば済むかもしれませんが、知恵はそうはいきません。自分で実践し経験を積むことでしか身に付かないので時間がかかります。ご老師は「お前は私の年までまだ30年もあるじゃないか。焦らず着実に行きなさい」と励ましてくれました。しばらくは自分の至らなさを後悔し辛抱する日が続きそうです。
住職代理 無聖